2006年01月24日

“在来犬の歴史”を考える

犬は最古の家畜であり、その祖先はオオカミです。

犬の家畜化は、かつて「2万年前」と考えられていましたが、
近年発見された、より古い骨の存在によって
『3万5000〜3万8000年前』
までにさかのぼるのです。

犬の先祖であるオオカミの社会では、
一夫一妻制の家族が中心で、年長の雄がボスとなります。

これは人間の社会と全く同じで、
オオカミが家畜化された犬にとっては、
人間の家族に完全にとけこむことができた主因だと考えられます。

それによって、
犬は人間にとって唯一の伴侶動物(companion animals)と
なることができたのです。

これは、同じく伴侶動物とされる猫の場合と異なっています。

猫は元来孤独生活をしていることから、
人間と完全なコンパニオンとなることはありません。

人間を喜ばすことを自己の最高の喜びとする動物種は、
人間以外では犬だけなのです。

太古から犬は人間と共に移動をしてきました。

そこで、古くからいる犬の遺伝子を調べることによって、
それを伴ってきた人間の移動経路を明らかにすることも出来と考えられます。

麻布大学獣医学部田名部雄一博士は、
日本及びその周辺の在来犬の血液遺伝子を調べることによって、
日本犬の起源を探ると共に、
それを伴ってきた日本人の起源をも探る研究をしました。

その結果、日本在来犬のうち、
・ 日本最南端に住む“琉球犬”と、
  最北端に住む“北海道犬(アイヌ犬)”の遺伝子構成が
  酷似していること、
・ また、本州、四国、九州などに住む在来犬の遺伝子には、
  朝鮮半島に由来する遺伝子が多く含まれていること
が解かってきました。

また最近の研究によって、
韓国の“珍島犬”や“済州島犬”に、
高い頻度で見出されるHbA(ヘモグロビンA)遺伝子、
Gmog(ガングリオシドモノオキシゲナーゼg)遺伝子は、
朝鮮半島内部に住む在来犬“サプサリ”や、
サハリンの少数民族(ニブヒ族)の所有する“北サハリン在来犬”、
“モンゴル在来犬”などにも同様に高い頻度で見出されたのです。

これらのことによって、
日本犬の成立には二重構造があって、
まず始めに、南アジアから琉球列島を通って北海道に至る日本列島に、
古い犬(縄文犬)が人と共に渡来し、
次に新しい犬(弥生犬)が新しい渡来民と共に
東北アジアから朝鮮半島を経由して日本に入ったことが明らかになったのです。

しかし、北海道や琉球列島(特に沖縄以南)では、
この新しい犬の混血は少なかったのです。

これは、日本人の二重構造による成立、
すなわち1万2000年前からの古モンゴロイドに属する縄文人と、
2300年前からの新モンゴロイドに属する弥生人
ならびに1700年前からの古墳時代人の日本列島への移住と
大きく関連している、と考えられます。

つまり、
・ 古い型の犬は南アジアから入った縄文人が連れて来た犬であり、
・ 新しい型の犬は東北アジアから入った弥生人や古墳時代人が
  連れて来た犬である、
と推察できるのです。

縄文人は、家畜としては犬しか所有していませんでした。

鶏や豚は弥生人がもたらし、
牛や馬は古墳時代人が日本にもたらしたものなのです。

したがって、琉球列島にいる在来犬は、
日本人のもつ貴重な遺伝遺産であって、
同時に我々の祖先を探る重要な生物資源でもあるのです。

060124琉球犬.jpg
そのため、琉球列島の在来犬について、
その保護と普及を目的として、
平成2年4月1日に「琉球保存会」が設立され、
その際に沖縄県の在来犬の名称が「琉球犬(いぬ)」と命名されたのです。

posted by トゥラー at 14:05| 沖縄 ☔| Comment(0) | TrackBack(1) | 在来犬の歴史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

はじめに/沖縄・中国交流祭
Excerpt: 沖縄は、中国に一番近い日本。 単純に地理的なはなしかもしれません。 でも、それって大事だったりすると思いませんか。 隣同士って、仲がいいに決まっている。 沖縄と中国って、色とか」形とか」何..
Weblog: 日中国民友好連絡会       
Tracked: 2006-01-24 17:52
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。