2006年03月06日

「愛犬ジャーナル」への“琉球犬”についての寄稿−1

「愛犬ジャーナル」という月刊誌の特集記事に、
“琉球犬”について寄稿したことがあります。

今から12年前の
1994年7月号から同年12月号まで連載して戴きました。

タイトルは、
平成6年戌年・ゴージャス特集
古いタイプの日本犬「琉球犬(いぬ)」
『君知るや うるま島の虎毛犬』 (「うるま」とは、琉球の古名です)
でした。

記事内容を、当時の原文のままご紹介させて戴きます。

このブログで、
今までにご紹介した内容と重複するところもありますが、
ご了承下さい。


紙.jpg
1994年7月号(bS17)

はじめに
犬は最古の家畜であり、その祖先はオオカミだと言われている。

その家畜化は、かつて2万年前と推定されてきたが、
近年より古い骨の発見によって、
3万5千年〜3万8千年までさかのぼることがわかった。

犬の祖先であるオオカミの社会は一夫一妻制の家族が中心であり、
年長のオスがボスとなる。

これは人の社会と全く同じであり、
オオカミが家畜化された犬は、人の家族に完全にとけ込める。

そこで犬は人にとって唯一の
伴侶動物(コンパニオン・アニマル)となることができた。

これは同じく伴侶動物とされる猫の場合と全く異なっている。

猫は元来、孤独生活をするので、
人と完全なコンパニオンにはなれない。

人を喜ばすことを自己の最高の喜びとする動物は、
人以外には犬だけである。

したがって、太古から犬は人と共に移動した。

そこで、古くからいる犬の遺伝子を調べることにより、
犬を伴なってきた人の移動経路を明らかにすることが可能である。

琉球犬のルーツは、
麻布大学獣医学部の田名部雄一教授の遺伝学的調査によると、
アイヌ犬、台湾在来犬と遺伝子構造が近く、
南方アジア系の縄文時代の古い犬に属する、とされている。

日本在来犬のうち、
日本最南端に棲息する琉球犬と
北端に飼われている北海道犬(アイヌ犬)の遺伝子構成が近く、
また、本州、四国、九州などに飼養されている在来犬の遺伝子には
朝鮮半島に由来する遺伝子が多く含まれていることがわかった。

最近の研究によると、
韓国の珍島犬、済州島犬に高い頻度で見出される
「H6A(ヘモグロビンA)」、
「Gmog(ガングリオシドモノオキシゲナーゼg)」遺伝子は、
朝鮮半島内部にいる在来犬サプサリや
ニブヒ族の所有する北サハリン在来犬、
モンゴル在来犬など高い頻度で見出された。

これらのことは、
日本犬の成立には二重構造があり、
まず始めに、南アジアから琉球列島を通って北海道に至る日本列島に、
古い犬(琉球犬)が人とともに渡来し、
次に新しい犬(弥生犬)が、新しい渡来民とともに
東北アジアから朝鮮半島を経由して我が国に入った。

しかし、北海道や琉球列島(特に沖縄本島以南)では、
この新しい犬との混血は少なかった。

これは日本人の二重構造による成立、
すなわち1万2千年前からの古代モンゴロイドに属する経文人と、
2300年前からの新モンゴロイドに属する弥生人
ならびに1700年前からの古墳時代人の
日本列島への移住と関連すると考えられる。

つまり古い型の犬は、南アジアから入った縄文人が連れて来た犬であり、
新しい型の犬は、東北アジアから入った弥生人や古墳時代人の
連れて来た犬であると推定できる。

縄文人は家畜として、犬しか所有していなかった。

鶏や豚は弥生人がもたらし、
牛や馬は、古墳時代人が日本にもたらしたものである。

したがって、
琉球列島にいる在来犬である「琉球犬」は、
我々日本人の持つ貴重な遺伝遺産であり、
また、我々の祖先を探る重要な生物資源でもある。

愛犬ジャーナル1994年7月号78・79頁.jpg


長くなりますので、1回目の後半は次回に書かせて戴きます。

posted by トゥラー at 20:05| 沖縄 ☔| Comment(1) | TrackBack(0) | 新聞・犬専門誌など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
縄文人と一緒に日本にやってきたアイヌ犬、秋田犬。

弥生人と一緒に日本に渡ってきた対馬犬、隠岐犬、山陰柴犬。
Posted by つうこう at 2014年07月24日 23:13
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