2006年02月01日

“琉球犬”の遺伝学的特徴について

石垣島の県立八重山商工高校が選抜高校野球に出場することが
昨日の午後に決定したことで、
NHKの「太陽カンカン」という番組でも、この話題が急きょ入り、
私と“琉球犬”生出演の予定時間が数分ズレてしまいました。

昨日の沖縄本島は激しい雨でしたが、NHKの配慮で、
豊見城市の「あしびなー」(那覇空港近くのアウトレットモール)の
「室内で撮影して戴きました」ので、
“琉球犬”も元気に出演することが出来ました。

とりあえず撮影が無事に?終わったことをご報告しておきます。


“琉球犬”の遺伝学的特徴(1歳以上の64頭の調査結果)
1.毛色
・赤トゥラー 63%
・黒トゥラー 23%
・白トゥラー  6%
・赤犬     8%

2.ストップ(類段部)
・浅い   48%
・深い   12%
・中間   38%
・なし    2%

3.耳
・立ち   95%
・半たれ   5%
・たれ    0%

4.尾
・差尾   64%
・半差尾  31%
・巻尾    5%

5.吻(ふん、「=口の長さ」
・短い   27%
・長い   17%
・中間   62%

6.毛長
・短毛   75%
・長毛    6%
・中間   19%

狼爪1.jpg
7.狼爪(ろうそう)
狼や縄文犬としてのなごりであり証(あかし)です。
狩猟の時に、急ブレーキの役目を果たすのではないか、と言われています。
狼爪2.jpg
・あり   14%
・なし   86%

舌斑の撮影ク敗画像.jpg
8.舌斑(ぜつはん)
これも狼や縄文犬としてのなごりであり証(あかし)です。
舌の一部に黒い斑が出ることで、狼には必ずあるものです。
・あり    9%
・なし   91%
画像は、舌斑を撮影できなかった失敗作です。
次の機会に上手く撮影して差し替えたいと思います。


posted by トゥラー at 11:55| 沖縄 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 琉球犬の特徴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月31日

“琉球犬”の頒布について

060131琉球犬の仔犬.jpg
“琉球犬”の頒布についての問合せメールが多いので、
「仔犬の譲渡」に関して記述しておきます。

現在、20頭弱の“琉球犬”を飼育していますが、
エサはペットフードは一切与えず安全な自家製発酵フードを与え、
ワクチンなども定期的に接種し、健康維持に努めています。

雌犬は年2回の出産で、1回に4〜6頭の仔犬を出産しますが、
今までの研究や実験、メンデルの法則などから、
交配する犬によって、どういう毛色や性格が出るかが分かってきました。

仔犬の価格は、定価がないので、
ペットショップやネット上でも、
同じ犬種の仔犬の価格設定はまちまちですが、
その犬が高いか安いかという判断は
「価値観の問題」だと私は考えています。

以前は“琉球犬”を50頭近く飼育していました。
犬のエサや飼育・管理には日々莫大な費用がかかっていますので、
利益目的での頒布ではないことはご理解戴きたいところです。


“琉球犬”の仔犬の譲渡
1.雄・雌とも“協力金”を戴いて譲渡しています

2.予約
・ 毛色(トラ毛、赤犬など)と性別(雄・雌)の希望
・ 目的(番犬、狩猟など)の希望
・ 去勢・避妊手術は、別途1万円(消費税別)で申し受けます
・ 予約順なので、お待ち頂けること

3.引渡し
・ 子犬生育状況に応じて、ご相談の上決定させて戴きます

4.発送料
・ 発送する場合のみ発生します。
・ 犬の大きさに合わせたケージ込みで概ね1万円くらいだと思いますが、
  実費負担でお願い致します。
・ 以前は航空会社で犬用ケージの無料貸し出しが出来たのですが、
  最近は「自前調達での持ち込み」になっているのです。

5.返品
・ 「生体」は特殊販売になりますから原則的には返品交換はできません。
・ ただし引渡し時において
  明らかに当方のミス(犬種・性別・毛色違い)による場合は
  交換させて頂きます。

6.アフターフォロー
・ 購入後の飼育指導やご質問・ご相談は随時お受けします

7.“琉球犬”の適正
・ 番犬
 “琉球犬”は人間に忠実でおとなしい性質です。
  自分の“縄張り”を心得て、飼主の住居等を見張り、
  サルやイノシシ、ネコなどの動物や不審者の接近・侵入を防ぐ
 “番犬”としては最適だと思われます。

・ セラピー犬
  高齢者や精神的な病気の方向けに、
  “琉球犬”が人間を癒し、人間が“琉球犬”に確かな愛情を注ぐ
  セラピーDOGとしても適するはずです。
  
・ 猟犬(鳥猟犬、獣猟犬)
  狩猟犬として獲物の発見、追跡、捕殺、
  撃ち落とされた獲物の探索などに適しています。

・ 救助犬
  訓練次第では、被災地などで、遭難者の発見・救助にも適するはずと
  期待しています。

問合せやご予約、ご希望、ご相談などありましたらメールでご連絡下さい。
posted by トゥラー at 14:22| 沖縄 ☔| Comment(18) | TrackBack(0) | 琉球犬(仔犬)の頒布 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月30日

明日、NHKのTV番組に出演することになりました

明日1月31日(火曜日)の夕方17時10分から始まる
「太陽カンワイド」という番組で、
戌年にちなんで“琉球犬”の登場になりました。

NHKと言っても沖縄版ですから,本土では残念ながら見れないと思います。

私と“琉球犬”の出番は2回あって、
1回目  17:15〜3分30秒
2回目  18:30〜7分間
の「生出演」です。

“琉球犬”の成犬4頭と仔犬4〜5頭を出す予定で、
今オリを準備しているところです。

出演場所は豊見城市です。

沖縄で“琉球犬”に興味のある方は、ぜひご覧になって下さい。

posted by トゥラー at 19:55| 沖縄 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 新聞・犬専門誌など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

4日前にメールを頂いた方へお詫び

4日前にメールを頂いた九州の方(甲斐犬に興味を持たれていた方)
にお返事を出そうとしたところ、私の手違いでメールを消去してしまいました。

申し訳ありませんが、再度メールを頂戴する機会がありましたら、
またお願い致します。
posted by トゥラー at 13:59| 沖縄 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

“琉球犬”の体型調査の結果

060130琉球犬.jpg
1歳以上の“琉球犬”
山原(やんばる)系の雄13頭・雌19頭
八重山系の雄9頭・雌6頭
について、
下記の12項目の測定を実施しました。
・ 体高
・ 十字部高
・ 体長
・ 胸囲
・ 胸深
・ 胸幅
・ 腰骨幅
・ かん幅
・ 座骨幅
・ 尾長
・ 頭長
・ 体重

参考までに、代表的な数値を上げておきます。

1.体高
山原(やんばる)系の雄46.3cm・雌43.4cm
八重山系の雄49.6cm・雌46.9cm
2.体長
山原(やんばる)系の雄49.9cm・雌47.3cm
八重山系の雄54.7cm・雌50.9cm
3.胸囲
山原(やんばる)系の雄55.4cm・雌52.4cm
八重山系の雄61.3cm・雌58.2cm
4.体重
山原(やんばる)系の雄14.7s・雌12.9s
八重山系は雄・雌とも20kg以上

この結果から、犬の大きさによる部類分けでは、
“琉球犬”は「中型」に属し、
また“琉球犬”の体型は北海道犬(アイヌ犬)と類似していること
が分かりました。


posted by トゥラー at 09:49| 沖縄 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 琉球犬の特徴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月29日

“琉球犬”の調査

060128琉球犬の仔犬.jpg
少し古いデータになりますが、
沖縄県内における“琉球犬”の調査をしたことがありますので、
その結果を記述しておきます。

専門的な用語が出てくるので分かりにくいと思いますが、
大まかに捉えていただければよろしいかと思います。

平成2年2月〜11月まで、“琉球犬”と思われる情報に基づいて、
沖縄本島と石垣島において、
採血と個体の12部位の測定を実施しました。

実施頭数は、
・ 沖縄本島 76頭
・ 石垣島  28頭
の合計104頭でした。

血液による遺伝学的検査と専門部会の認定審査に基づいて
合格した64頭に「琉球犬血統書(基礎)」を交付し、
これら64頭のうち1歳以上の47頭の個体について
詳細な体型調査を実施したのです。

体型調査をされた47頭の産地別内訳は、
・ 沖縄本島(以下、山原系) 32頭
・ 石垣島(以下、八重山系) 15頭
でした。

遺伝学的特徴については、64頭全てに対し8項目の調査を依頼し、
血液については、採血後血漿と血球に分離してマイナス40度に保存し、
岐阜大学に検査を依頼しました。

明日以降、
・ 体型について
・ 遺伝学的特徴について
・ 血液検査の結果
を、簡単に記述させて戴きます。

posted by トゥラー at 10:17| 沖縄 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 琉球犬の特徴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月28日

“琉球犬”の保護に向けての課題

060128白トラ.jpg
“琉球犬”については、
・ 虎毛または赤の毛色を持つこと
・ ストップの浅いものが多いこと
・ 胴のびの良いこと
などの特色があります。

これらの特色は、保護・保全のために重要な指標であり、
みだりに外見の優美さの向上のために選抜すべきではないと思われます。

現在、本島北部の山原(やんばる)と
八重山(石垣島を中心とした八重山諸島)の二系統があり、
血液遺伝子からは両群に差は認められません。

しかし、可能であれば両系統は交雑せずに別系として保存すべきでしょう。

この際、留意すべきことは、近視交配を避けることです。

したがって、生まれた子犬の数が減るなど近交退化現象が出てくれば、
両系の交雑によって、これを避けることも必要となるかもしれません。

毛色については、虎のみでなく、赤も残すべきです。

虎同士の交配でも赤が出現しますし、
赤と虎を交配すれば虎と赤(虎のみの場合もあります)ができますし、
赤同士を交配すれば赤を生じます。

個体数があまり多くない現状では、
虎と赤の両系統に分けず、
相互に交配して維持するのが良いと考えられます。

平成5年度に作成した「“琉球犬”の保護に向けての課題」を
参考までに記述しておきます。


“琉球犬”の保護に向けての課題
1.他犬種との雑種を作ってはならない。
  そのためには雌犬を飼育する会員は必ず犬舎を設置する。

2.種付けに際しては、保存会の計画交配のもとに実施し、
  雌犬の主、雄犬の主、第三者の会員の立会いに交配を行うこと。

3.種付け報告、分娩報告をすみやかに必ず保存会事務局に連絡すること。

4.生産された仔犬は全て保存会の管理のもとで譲渡する。
  個人での譲渡、売買は一切行わない。

5.遺伝学的には虎毛同士の交配で10種類の毛色が出現する。
  優性遺伝で虎毛(黒トラ、赤トラ、白トラ)、
  劣性遺伝で赤、その他の毛色が出るが、
  保存会として認定する毛色は虎毛、赤とする。
  その他の毛色については経過を観察する。

6.系統的には、山原(やんばる)系と八重山系の二系統があるが、
  血液遺伝子からは両群に差はない。
  しかし、体格において、八重山系が若干大きい。
  保存会としても出来るだけ系統間繁殖を行い、
  それぞれの特性を生かしてゆく。

7.底辺の拡大に伴ない、選抜沙汰を厳密に行い、
  琉球犬として最もふさわしい遺伝形質を持った犬を
  保存、増殖、普及してゆく。

8.今後の琉球犬の活用について、十分検討してゆく。
  家庭犬、狩猟犬、その他。

9.みだりに改良や選抜を行わず、
  琉球犬は貴重な遺伝遺産であり、生物資源でもある。
  琉球犬は古代我々の祖先が神世の時代から残してくれた
  沖縄の生きた文化遺産として、後世に残してゆく。

posted by トゥラー at 09:57| 沖縄 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 琉球犬の特徴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月27日

“琉球犬”審査基準の13項目

060127琉球犬の仔犬.jpg

琉球犬保存会では、調査資料に基づいて、
理想とする“琉球犬”のタイプを決め、
計画交配や展示会での審査の基とするために、
平成3年度に“琉球犬”審査基準(標準)を
下記のように13項目定めています。
(原文のまま記載します)

1.ストップは浅いものを良しとする。

2.耳は鈍三角形にて逆八の字形にピンと立つ。
  耳間幅はやや広く、耳の過大、過小、立たないものは減点とする。

3.目は明瞭にて、虹彩濃茶褐色、目尻はつり上がらない。
赤犬は明瞭にて、虹彩金色、ただしマスクは茶褐色。

4.鼻梁は真直ぐ、口物やや長く引きしまり、
  歯牙は噛み合わせ正しく、
  アンダーショット、オーバーショット、歯牙欠落、乱歯は減点とする。
  虎毛及びマスクの鼻色は黒、赤犬の鼻色は赤とする。

5.頭頸は適度に幅広く、頬部、頸部は良く引きしまっている。

6.四肢、前肢は真直ぐに趾きん握す。
  後肢は力強く趾張り趾きん握す。

7.胸は前躯よく発達し、胸幅広く、胸深い。

8.背線真直ぐにて、腰幅広く、力強い。

9.毛色は黒トラ、赤トラ、白トラ、赤犬(マスクも含む)の
  四色に区別され、虎模様は美しく明瞭なるものを良しとする。
  胸の白斑スポットのないもの、あるいは過大なもの、
  四肢端白斑の過大なものは減点とする。

10.被毛は短毛から中間毛を良しとする。長毛は減点とする。

11.尾は刀身の形状にて差尾を良しとする。 
   長さ、太さ、形状に着目する。

12.気質、品位は素朴感あり、人なつっこいが、
   他の動物に対する感覚は鋭敏である。
   臆病なもの、凶暴性を帯びるものは減点とする。

13.一般外貌、雌雄の表示判断として、体躯均整を得る。
   栄養管理不適当なものは減点とする。陰睾も減点とする。


ご覧戴いたように、専門用語が飛び交って、
なかなか難しい言い回しになっています。

多くの犬の審査基準も同様な言い回しですが、
参考までに、柴犬の審査基準のサイトもご覧戴くと、
やはり難しいものとなっています。


今日は「13項もむの審査基準」の紹介だけに留めて、
機会のあるごとに、分かりやすく解説したいと思っています。

posted by トゥラー at 10:21| 沖縄 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 琉球犬の特徴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月25日

“琉球犬”について

沖縄県における在来犬(“琉球犬”)や在来豚(アグー)、
在来鶏(チャーン)等は、
沖縄戦によって壊滅的な被害を被りました。

“琉球犬”は、
激戦を免れた沖縄本島北部地域と八重山地域に
わずかに生存していた犬による繁殖で、種族の保存がなされてきました。

その確かな「記録」自体は存在しないのですが、
戦前から本島北部(やんばる)や八重山において
“琉球犬”をイノシシ狩りに利用して十分活用されており、
現在でも狩猟を目的とした愛犬家が増えているのが現状なのです。

060125トゥラー.jpg
“琉球犬”は、前回の記述のように
平成2年4月1日の「琉球犬保存会」の設立に伴ない命名された言い方で、
それ以前は
『トゥラー(虎)』、
『アカイン(赤犬)』
と呼ばれていました。


『トゥラー』は、その毛色模様に由来する沖縄方言で、
その色合いの違いによって
下記のように幾つかの細分された呼び名があります。
・ 黒トゥラー  黒地×茶のストライプ(虎毛)
・ 赤トゥラー  茶色×黒のストライプ(虎毛)
・ 白トゥラー  白地×黒のストライプ(虎毛)
・ アカイン   茶一色の赤犬


“琉球犬”の特徴
・ 性質がとてもおとなしく、犬のグループとしての狩猟に適しています。

・ ストップ(全頭骨の額段部)が浅い(短い)。
これは、縄文犬の大きな特徴です。

・ 耳がピーンと立ち、八の字状を呈し、
その左右の間隔が広く、胸の幅や胸の厚みが豊富で、前躯の発達が良い。
これは、もともと狩猟犬であるために、
獲物を捕獲するまでの持久力を必要とすることから生じた特徴です。

・ 尾は差尾が多く、全胸部の白い胸毛のスポットも共通しています。

・ 臭覚はイノシシ狩りに使われるほど極めて鋭く、
また敏捷性も優れ、勇敢でありながら、飼主に対してはとても従順です。

・ 生きた小動物には敏感に反応を示します。

“琉球犬”のルーツに関する研究をした
麻布大学の田名部雄一教授の遺伝学的調査結果によると、
前回のように
縄文人が日本に渡来してきた時に連れて来た犬(縄文犬)と
弥生時代に朝鮮半島から弥生人と一緒に入ってきた犬(弥生犬)との混血が、
現在の日本犬の基礎になっています。

これに対し、“琉球犬”は朝鮮半島からの遺伝子の流入が少なく、
北海道犬(アイヌ犬)や台湾在来犬(高砂族の犬)と遺伝子構成が近く、
南方アジア系の縄文時代の古い犬に属することが分かったのです。

このように、“琉球犬”は、
極めて古い時代の遺伝子形質を持った貴重な「生きた文化遺産」であり、
今後、より純粋の系統の“琉球犬”を増殖・普及させて
後世に残してゆく必要があるものと考えているのです。

posted by トゥラー at 14:02| 沖縄 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 琉球犬の特徴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月24日

“在来犬の歴史”を考える

犬は最古の家畜であり、その祖先はオオカミです。

犬の家畜化は、かつて「2万年前」と考えられていましたが、
近年発見された、より古い骨の存在によって
『3万5000〜3万8000年前』
までにさかのぼるのです。

犬の先祖であるオオカミの社会では、
一夫一妻制の家族が中心で、年長の雄がボスとなります。

これは人間の社会と全く同じで、
オオカミが家畜化された犬にとっては、
人間の家族に完全にとけこむことができた主因だと考えられます。

それによって、
犬は人間にとって唯一の伴侶動物(companion animals)と
なることができたのです。

これは、同じく伴侶動物とされる猫の場合と異なっています。

猫は元来孤独生活をしていることから、
人間と完全なコンパニオンとなることはありません。

人間を喜ばすことを自己の最高の喜びとする動物種は、
人間以外では犬だけなのです。

太古から犬は人間と共に移動をしてきました。

そこで、古くからいる犬の遺伝子を調べることによって、
それを伴ってきた人間の移動経路を明らかにすることも出来と考えられます。

麻布大学獣医学部田名部雄一博士は、
日本及びその周辺の在来犬の血液遺伝子を調べることによって、
日本犬の起源を探ると共に、
それを伴ってきた日本人の起源をも探る研究をしました。

その結果、日本在来犬のうち、
・ 日本最南端に住む“琉球犬”と、
  最北端に住む“北海道犬(アイヌ犬)”の遺伝子構成が
  酷似していること、
・ また、本州、四国、九州などに住む在来犬の遺伝子には、
  朝鮮半島に由来する遺伝子が多く含まれていること
が解かってきました。

また最近の研究によって、
韓国の“珍島犬”や“済州島犬”に、
高い頻度で見出されるHbA(ヘモグロビンA)遺伝子、
Gmog(ガングリオシドモノオキシゲナーゼg)遺伝子は、
朝鮮半島内部に住む在来犬“サプサリ”や、
サハリンの少数民族(ニブヒ族)の所有する“北サハリン在来犬”、
“モンゴル在来犬”などにも同様に高い頻度で見出されたのです。

これらのことによって、
日本犬の成立には二重構造があって、
まず始めに、南アジアから琉球列島を通って北海道に至る日本列島に、
古い犬(縄文犬)が人と共に渡来し、
次に新しい犬(弥生犬)が新しい渡来民と共に
東北アジアから朝鮮半島を経由して日本に入ったことが明らかになったのです。

しかし、北海道や琉球列島(特に沖縄以南)では、
この新しい犬の混血は少なかったのです。

これは、日本人の二重構造による成立、
すなわち1万2000年前からの古モンゴロイドに属する縄文人と、
2300年前からの新モンゴロイドに属する弥生人
ならびに1700年前からの古墳時代人の日本列島への移住と
大きく関連している、と考えられます。

つまり、
・ 古い型の犬は南アジアから入った縄文人が連れて来た犬であり、
・ 新しい型の犬は東北アジアから入った弥生人や古墳時代人が
  連れて来た犬である、
と推察できるのです。

縄文人は、家畜としては犬しか所有していませんでした。

鶏や豚は弥生人がもたらし、
牛や馬は古墳時代人が日本にもたらしたものなのです。

したがって、琉球列島にいる在来犬は、
日本人のもつ貴重な遺伝遺産であって、
同時に我々の祖先を探る重要な生物資源でもあるのです。

060124琉球犬.jpg
そのため、琉球列島の在来犬について、
その保護と普及を目的として、
平成2年4月1日に「琉球保存会」が設立され、
その際に沖縄県の在来犬の名称が「琉球犬(いぬ)」と命名されたのです。

posted by トゥラー at 14:05| 沖縄 ☔| Comment(0) | TrackBack(1) | 在来犬の歴史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。